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「支払う」と「支払うものとする」の違い

離婚協議書では、養育費や慰謝料などの金銭のやり取りを約束する場合があります。

この場合、「〇円を支払う」「〇円を支払うものとする」とでは、違いはあるのでしょうか?

 

結論としては、違いがあり、強制執行のための債務名義(公正証書、判決)では、「〇円を支払う」と表記する必要があります。

司法研修所民事弁護教官室『民事弁護実務の基礎~はじめての和解条項~』によると、「給付をする旨の合意は、給付義務者の給付意思を端的に表現しなければならない」とされています。

そして、上記の記載の方法として、「〇円を支払う」とし、給付意思を明確にすべきとしています。

 

①「〇円を支払う」

〇円を支払うことを宣言しており、給付意思を明確にしているのでOK

 

②「〇円を支払うものとする」

支払う約束や支払いの合意はしているものの、〇円を支払うと宣言したわけではないためNG

 

③「〇円を支払わなければならない」

〇円についての支払義務を確認したにとどまると解釈されうるのでNG

 

当事務所では、債務名義の記載方法に則り、「〇円を支払う」という表記で、離婚協議書やその他の合意書を作成しています。また、強制執行認諾文言付きの公正証書の作成を合意した旨の記載も入れています。

②や③の記載方法では、公正証書化に支障をきたすことがあり、強制執行ができない恐れがあるためです。

 

日常では、あまり意識することがない言葉の使い分けですが、法的には意味合いが違います。

言葉を仕事とする者にとっては、よくよく吟味して適切な表現を心がけたいものです。

 

 

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