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離婚の予約は有効か?
当事務所では、配偶者の不倫が原因で離婚に至ったケースも多く取り扱っています。
その中には、「今すぐには離婚はしないが、次に不倫があったときには離婚する」という旨の合意書の作成を求められることがあります。
つまり、条件付きではあるものの、離婚の前提とした離婚の予約は法的にどのように評価されるのでしょうか?
結論としては、「条件付きにせよ、離婚の予約は法的に意味をなさない」と考えられます。
というのも、離婚は、結婚と同様、両当事者の合意があって成立するものであり、合意の成立時期は、実際に離婚をするべきときを基準とするためです。
仮に、「次に不倫があったときには離婚する」ような条件付きの合意があったとしても、「次の不倫」のときに当事者の一方が離婚しないと主張すれば、「次の不倫」のときに離婚の合意がなされなかったことになり、離婚を成立させることはできません。
そのため、離婚協議書では、「甲と乙は、本日、協議離婚することに合意した」などと記載し、離婚の合意があった旨を明確にします。
また、離婚の合意は、公序良俗(民法90条)に反するという見解もあり、やはり無効であると考えられます。
そのため、離婚を予約するという合意は、将来の合意をカバーすることができないため、法的には意味はないということになります。
もっとも、離婚を不倫の「抑止力」として活用するために、法的に意味はないものの、あえて合意書を作成することは不可能ではありません(訴訟では認められない可能性が高いですが...。)。
崩れかけた夫婦関係を修復するために、あえて離婚の予約をする合意書を作成することも一つの在り方だと思います。
離婚もいろいろな当事者の形があり、その条件も様々です。離婚条件には正解や不正解はありません。
つまるところ、お互いの合意があれば、あらゆる条件が採用されます。
ただし、離婚の合意や、そのほか法令(強行規定)や公序良俗に反することは無効(法的に意味がない)となります。ご注意ください。